口さけおんな

これは現代民話と呼ばれるお話です。
私が小学生のころ、まことしやかな噂話として聞いたのがはじめです。
このお話の細かな部分は地域によって違うようですが、
私が聞き覚えたお話を書いておきます。

ちょっと怖いお話です。

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雨の夜、女の人が交通事故にあいました。
激しい事故の中、その女の人の命は無事でした。
女の人は、目を覚まし自分の頭に包帯がぐるぐると巻かれていることに気づきました。

「一体私どうしたんだろう・・・?」

痛みとともに事故にあったことを思い出しました。
それから約一ヶ月がたちました。

ようやく女の人の包帯がとれる日です。
恐る恐る自分の顔を鏡に映してみると・・・
やはり激しい事故の後が顔に傷として残っていました。
幾日かして仕事に戻ることにしました。

しかしその見にくい傷跡をみんなが見てひそひそ話をします。

女の人は耐えられなくなって貯金を全部使って
顔を整形することにしました。
病院で念書を書きお金を全部渡しました。

この念書、「手術について苦情は出しません」
とかかれていました。

数時間の手術が終わり、1週間で包帯がとれると聞き
ほっとしていた。
1週間がたち包帯を取るとまるで別人の自分に驚きました。
「なんて綺麗なの?これがわたし?」
とても喜んで女の人は家に帰りました。
しかし、日がたつにつれなんだか口元が痒くなってきました。
書きすぎたのか傷跡がうんと腫れていました。
女の人はあわてて手術をした病院にいきました。

「手術の後がこんなに腫れて・・・どうしたらいいの?」

先生は冷たくこういいました。

「手術は成功しました。『手術について苦情は出しません』と
 あなたも念書を書いたはず」

女の人は何も答えられず家に帰っていきました。
腫れた口元が少しづつさけてきました。
大きなマスクをしても耳までさけた口を隠すことが出来ません。

もう自分の顔も見ることが出来なくなった女の人は
気が狂ったように夜になると岐阜の町に出かけていきました。
すれ違う人に
「わたしきれい?」
と聞くのです。

整形して綺麗になった女の人の顔ですから
みんなが「きれい」といってくれるのです。
そして、マスクをはずして
「これでもきれい?」と聞くのです。

「きれいです」と答えないとものすごいスピードで
追いかけてきて肩に捕まってそのまま首を絞めるのだそうです。
マスクをはめた女の人に気をつけてね・・・


おしまい。


このお話の最後には
大きなマスクをした女の人に声をかけられたら
何も答えず走って逃げるか「きれいです」と答えなければいけない。
などと尾ひれのついたものになっていました。

カマを持って追いかけてくるというのも聞いたことがありました。
聞いたときは名古屋の話、と聞いた記憶があるけど、
元々は岐阜何だそうです。
映画「リング」で知りました(笑)

そうそう、この女の人の足の速さがやけに印象的でした。
オートバイにも追いつくって・・・。

日本全国でこの口さけおんなの話はあったみたいです。
その土地土地でもまた違ったお話になっているんでしょうね。





岐阜県民話